2022.12.12 #TOHARA

IRONMAN COZUMEL(メキシコ) レースレポート 戸原 開人

8時間13分45秒(スイム 0:48:03/バイク 4:29:50/ラン 2:51:43)

プロカテゴリー 10位

シーズン最後のレース、IRONMANコスメルに出場しました。

はるばるメキシコまで長旅してきましたよ。今年はカナダ、アメリカ、メキシコと北米制覇です。今回も家族を連れての遠征だったので、移動は大変苦労しました。まぁ諸々書いていると長くなりますので、ドラちゃんから借りてきたタイムマシンでレース10分前にワープしましょう。

 

スイム

全ての準備が終わり、そろそろプロのコールが始まるかなと思ったスタート10分前に、波が高いのでレーススタートを遅らせるとアナウンスがかかる。まぁたしかに波は高いし、これはスイム中止になるパターンや!と胸を躍らせる。スイムは苦手なのでキャンセルは大歓迎さ。雨も降りちょっと寒いので、ウインドブレーカーを着て待機。緊張感が薄れている。

30-40分経って急に今からスタートするから並べと言われてすぐさまスタート。中止にならなかったかまぁ気持ち切り替えて頑張ろう。でもちょっと身体冷えちゃったよ。

スタートダッシュはまずまず上手くいったと思ったけど、もうひと追い込み足りなかったようで、想定より遅いパックになってしまう。なんて日だ。しばらく私が先頭固定で泳ぐ。ローテーションしたいので、ちょっとペース落としても誰も前に出てくれない。このままではかなりタイムを失ってしまう。と思って後ろを向くと、2分遅れで出発した女子の先頭グループが近づいてきている。もう2分差を詰めて来たので、我々よりもかなり良いペースで泳いでいるはずだ。女子について泳ぐ自信はなかったけれど、このまま遊泳しててもタイムを大きく失ってしまうので、必ずついて行かなくては。そうと決まると男子のパックで泳いでいてもしょうがないので、背泳ぎをしてまったりしてリカバリー。女子が抜いてきたタイミングで後ろにつく。パックの男子皆考えることは同じで女子の後ろに着こうと必死だ。後ろに着くとそれほどきつくは無く、ついて行くことが出来た。ありがとう女神様。

残念なことに、他の男子は皆千切れたので、バイクのパックは私一人のスタートになりそうだ。しかし幸運にも女神様が前の男子のパックまで追いついてくださったので、男子と協力してバイクを漕げるかもしれない。コスメルはフラットコースなので一人でバイクに乗るのは大変不利だ。後日談だが、前の男子パックの何人かは完全にドラフティングをしていたのを他のプロや周回コースで重なったエイジグルーパーが話している。大変遺憾に思う、なんて政治家みたいなコメントを残しておこう。

 

バイク

バイクは男子4人、女子2人でバイクに乗り出す。しばらくすると落ち着いてパックが形成される。私の他に男子が2人、女子が1人のパックだ。他の男子はあまり牽引が強くないので、私がペースを作ると、男子ではなく女子の女神様、リサ・ノルデンが前に出てくれる。リサ・ノルデンは女子のタイムトライアルのナショナルチャンピオンでUCIのロードタイムトライアル世界選手権も好成績だった超バイクの強いトライアスリートだ。パックのペースはあまり上がっていないように感じ、後ろに入るとかなりイージーだった。とはいえ前に誰もいない状況なので一人でパックから抜けるのは良い判断ではないと感じた。ある程度皆で協調しながら次の展開を考えるとする。

1周目が終わり、パックにいた男子選手がパンクで去って行ったので、リサとのランデブー。良いペースだわ、とお褒めのお言葉を頂く。女子なのに本当強いね。

2周目の中盤くらいに後ろからスペイン人の男子選手が追いついてくる。彼はバイクランの強豪で、私が目を付けていた選手だ。彼のお陰でペースは改善されたものの、何やら審判と話し始めている。どうやらペナルティをとられたようで、彼はすぐにいなくなってしまった。なんで彼がペナルティをとられるのか意味が分からないけど、気を付けないとね。

しばらくするとリサもペナルティをとられたので消えていく。まぁちょっと近いと思ったんだよね。一人になってもたいして疲労も感じていないので、そのまま乗り続ける。

しばらく漕いでいくけど、前にはだれも追いつけない。結構バイクは自信があったけど、俺遅いなーなんて思いつつ頑張る。最後の40kmくらいになってもうひと頑張りだと思っていると、ホイールから振動を強く感じるようになってきた。パンクか?と思ったけど、パンクならまともに漕げないし、違うか。なんか調子が悪いから心理的なものかもしれない。気にするな、なんて思いつつフィニッシュを目指す。

その後コーナーを曲がると、ぐにゃっときたので止まってタイヤの確認をする。するとビックリ1気圧も入っていない。スローパンクしていたのか。今日バイク調子悪いと思ったんだよね、と合点がいく。今からパンク修理するよりもこのまま漕いだ方が断然速いから、空気が0にならないのを祈りながらバイクに乗る。なんとか最後まで走行不可にならないでバイクパートを終えることが出来た。しかし不本意なバイクパートでかなりタイムを失ってしまった。ランを走るモチベーションが見当たらないけど、とりあえずトランジットへ。

 

ラン

トランジットを抜けると足と気持ちが重い。先ずはペースを上げずにリズムを作ろう。ややゆとりのあるペースで走っているけど、身体の重さが抜けない。感覚的には超遅いけど、時計をみるとそれ程遅くないペースだった。しばらくはこのペースを維持して様子をみよう。

折り返しからどんどん選手が戻ってくるけど、かなりの差が空いている。唯一の望みは午前中とは違い、晴れてとても気温が上がっている事だ。実際1周目から何人か潰れている選手を発見した。まぁとても上位に行ける感じはしないけど、徐々に足取りも軽くなってきたしこのまま後半勝負を念頭に走り続ける。

7km地点の折り返しで後続をみると、バイクで遭遇したスペインの選手が近づいてきているようだ。ほどなくして抜かれたので、彼の後ろに入り様子をみる。後ろに着いてからは全ての思考をクリアにして、ただ何も考えずについて行く。時々時計を見ると355//kmで一定。良いペースだがまだ余裕を感じる。

5kmほど後ろを着いて行ってから、付き位置も悪いと思い、ローテーションをする気持ちで前に出る。すると少し後ろが離れたように感じたので、とりあえずそのまま走り続ける。21km地点の折り返しではスペインの選手とは15秒程の差で、差が開いているとはいえない。後続は彼以外に走れている人はいないので、彼に抜かれないようにしつつも、前を追わなくてはいけない。今何位なのかイマイチ分からないが、かなり選手を抜いているし、リタイアも続出している。ベスト10に入れる可能性は十分にある。

そのまま3周目に入る28km地点で嫁から10位に上がったことを知る。やったぜ!前はもうかなり空いているので、自力で追い上げるのは難しい。歩いてくれたら抜けるけど、一先ずはベスト10をキープしたい。後ろのスペイン人とはまだ20秒程度の差で、ほぼ同じペースで走っている。もし彼が力を残していたらなんて考えるととても怖い。私はまだ余力があるので、ペース配分を考える。ラスト1kmでスパートするのは私の脚質ではないので、最後の折り返しの35km地点からの7kmを最速で走ることを目標にして、そこまでは差をキープしよう。ペースを落とさないように心掛けながら35km地点。差は1分まで広がった。残り7kmなので1kmあたり10秒近い猶予がある。最後の7kmを私が350/kmで走れば、どんなに力を蓄えていても追い抜かれるはずはない。そもそも差が広がっているのは余力がない証拠だろう。安心感と僅かな不安を持ちながら力を振り絞って350/kmまでペースを上げる。

きついけど40km地点で後ろを振り返って誰もいなかったらペースを落として走ろう。40kmが近づいてくると41kmまで頑張ろうに切り替える。41km地点ではせっかくここまで頑張ったから42kmまで頑張ろうに切り替える。42kmまで来るともうゆっくりでいいよね。ゴール前の沿道にいる息子に立ち寄ってからゴールを迎えた!

バイクでトラブルがあったけど。すべてを忘れられる良いランだった!シーズン最後をきちんと締めくくれてうれしいね。

応援ありがとうございました!

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