データで見るトライアスロン IRONMAN Geelong ①

2017/2/19に開催されたIRONMAN70.3 Geelong 本レースは自分にとっても様々な検証の場であり、結果的に多くの気づきを得ることになった。早速帰国の機内で振り返りとして整理してみたい。

2016/10/2のIRONMAN Taiwanでのバイク時に発生した内蔵問題。これが一度発動してしまうと、完全に飲み物も食べ物も受け付けなくなり、最後には体が全く言うことを聞かなくなる。数時間休養を取ると復活するが、レース中に起こると死活問題である。

5月のIRONMAN70.3セントレアで発生し(この時は歩いてなんとかゴールはしたが・・・)いろいろ対策をとって望んだTaiwanでもまたしても発生。これを解決できないとそもそもトライアスロンすらつづけられなくなるかも・・・という不安もよぎり本気で悩み対策を考えた。

現象としては基本的には大きな筋肉を利用しての高負荷出力中には筋肉への血液循環が大きくなり、内蔵に血液が回らなくなるため、起きていることが考えられる。医師や運動生理学の研究者など相談できる様々な知見者に相談してはみたが、明確な原因を特定することはできないでいた。ただ総合すると主に下記の4つのポイントが考えられた。

  1. レース中に血液粘度が上がることによる問題
  2. 貧血傾向等の血液に関する問題
  3. 運動負荷が高すぎる問題
  4. そもそも体質的に長距離競技に向いてない問題

1.は前回の台湾IRONMANのテストで水分およびナトリウムの給水(大塚製薬OS-1)を心がけたにも関わらず発生したためこれだけではないと推測。2.についてはスポーツ医科学研究所でのアスリート向けの血液検査でも問題無いと判断された。3.はセントレアおよび台湾で心拍数をKPIとしてコントロールしたつもりであるが、2回とも失敗に終わっていた。4.はまだ現段階では考えたくない。そこで今回のGeelongにおける対策は、3.の改善に着目して、

  • 心拍でなくパワーでレース中の負荷をコントロールを徹底する
    →FTP(1時間持続できる最大パワー)を高めるトレーニングにフォーカス
  • 朝食の摂取をいつもの倍(800kcal程度)にし、補給をスイム終了時からバイク前半までにすべて完了(800kcal)する
    → 内蔵の状態が良いときに補給を完了する

という戦略でいくことに決めた。

実はスイムとランに比べてバイクは、学生時代の蓄積がありいつもそれなりのタイムが出ていたため、レース出力程度でのトレーニングを中心としていた。しかも、自分は昔から瞬発系が得意なスプリンタータイプで、持久系の競技は苦手である。レース中も向かい風や登りなどのキツい場面では、ついつい踏みすぎて早く終わらせようとする傾向は今も変わらない。ここに着目するのが最も有効なのでは??という仮説を基にして自分の主観を排する方法を考えた。

そこでIRONMAN台湾が終了から約3ヶ月にわたって、FTP向上にターゲットを絞り、安定的に負荷をコントールする目的でローラー台とパワーメーター(温度ドリフトが発生ぎみのGARMIN VECTORからROTOR 2IN POWERに変更)を活用し、高出力のインターバル(FTP+5〜10%)を徹底して、高負荷に体を慣らせることにした。

その結果、大会10日前にはFTPとして228 (10/21) → 240W (2/10)まで向上。
体感的にも高出力に順応できるようになったのは明らかである。この結果を基にレース中の出力をNP(標準化パワー)を192W(FTPの80%)に押さえることを今回のターゲットとすることに決めた。

スイムはスキルの問題だと思っているので今回はあまり手をつけず、ランのKPIはバイクのFTPの代替え手段として測定データから1時間持続可能なSpeed/PaceのThresholdを4:40min/km、心拍では160bpmとし、目標レースペースより15%程度ペースを高めたトレーニングを実施してきた。

その結果を基にしたレース戦略は下記である。

SWIM:40min
BIKE:2h40min
RUN:1h50min
その他:10min
Total:5h20min
目標平均心拍数:158bpm

このターゲットで望んだ結果がこれである。

驚くほどターゲットタイムに近い結果・・・ホントできすぎである。しかも、レース中の内蔵爆弾の発生を完全に回避することができた。さらには、各種測定データの結果を分析することで、この数字のゆらぎの理由もほとんど説明がつく(これは後ほど)。

今回の自らの体を活用した実験検証?!は改めて努力と数字はウソをつかない?!ということを体感することになった。結論としては、内蔵爆弾は仮説通りレース時に自分のパフォーマンス以上の負荷を掛けすぎていることが原因であり、自分の主観ではなくデータに基づいたコントロールができれば回避することができる光が見えたことになる。

引き続きレース中の詳細データの中身については、次回整理してみたいと思う。