2019.08.20

ドラフティングの空気抵抗削減効果についての実験

皆さんこんにちは!今年も暑い暑い夏がやってきましたねー。

全国の子供たちは夏休みを満喫している頃だろうけれど、忘れちゃいけないのが夏休みの宿題!戸原はもう大人になったので宿題はないはずなのだけど、この夏は童心に帰って自転車の抵抗を大きく減らすテクニック、「ドラフティング」について自由研究をしてみました。

実験に移る前に先ずは抵抗について、簡単に勉強してみましょうかね。

ペダルを踏むとクランクからチェーンを通じて力が後輪へと伝わり、自転車は進むのだけれど、何もしなければ自転車はそのうち止まってしまいますよね?何故かと言うと、そこにはいろいろな抵抗が発生しているからだ。抵抗は主に下記4種類だ。

①転がり抵抗:タイヤと地面との接地で生まれる摩擦抵抗
②駆動抵抗:チェーンやギア等、パーツの駆動時に生まれる摩擦抵抗
③空気抵抗:バイクと人が空気中を進む時に生まれる抵抗
④登坂抵抗:重力によって発生する抵抗。界王星は重力10倍で修業にピッタリ(ドラゴンボールネタ

これらのうち平地を速いスピードで走る上で一番大きな抵抗となるのが空気抵抗だ。

高校の物理の授業ではしばしば空気抵抗を無視していたけれど、大人になりトライアスロンを始めた皆さんは、この空気抵抗を減らすことがとても大切なのです。そんな空気抵抗を減らすための重要なテクニックとなるのがドラフティングだ!

ドラフティングとは、前のバイクの後ろについて風よけにして走ることだけど、それにより、後ろのバイクへの抵抗が減るので、少ないパワーで走ることが可能になる。自転車を走らす上では重要なテクニックだ。

本日はこのドラフティングによる抵抗削減効果がどれ程か、そして車間が空いた時もドラフティングの効果が残るのかをチームZOHNの稲葉選手に協力してもらい、調べてみました!

 

実験プロトコルはこちら
・車の来ない12.5キロの周回を使用
・稲葉選手が前走者、私が試技ごとに車間を変えながらドラフティングをした際の私の出力の変化をチェック
・ドラフティング効果以外の要素が入らないよう、稲葉選手は実験を通してすべてエアロバーを握る低いポジションで走り、出力も一定で走る。速度は36km/h程度
・私は実験を通してブラケットを握り、やや上体を起こしたポジションで走る
・試技ごとに違うのは車間だけで、他の要素はすべて同じようになるよう気を付ける

 

さぁそれではいよいよ実験スタート!

 

先ずはベースラインの設定に単独走行を実施した。
稲葉選手と同じペースで、ドラフティングの恩恵を受けないよう留意して走った。

実験1)単独走
237W:単独時との出力比100%

時速36キロ程度だが、大きなパワーを必要とした。リラックスしたポジションなので、空気抵抗がとても大きく、スピードが出にくい。

 

さぁ次はドラフティングをしてみるぞ!稲葉選手の後輪まで3040㎝の距離に私の前輪が来るようにして走行した。さて、どのくらい楽になっているかな??

実験2)ドラフティング(車間30cm
189W:単独時との出力比75%

およそ25%程度エネルギーを節約できた。とはいえもっと効果が大きいと思っていた。
これは前走者が女性の稲葉選手で尚且つエアロポジションをとっているため、稲葉選手にぶつかっていない空気が、ドラフティングしているとはいえ、リラックスして高い姿勢をとっている私にはかなり当たるからだと思う。前後逆になれば恐らく6065%程度の出力比になりそうだ。

 

お次はバイク1台分程度車間を開けてのドラフティングだ。

実験3)ドラフティング(車間バイク1台分)
204W:単独時との出力比85%

車間を開けてもまだ15%程度とかなりのドラフティング効果が残っている。しかしドラフティングが許可されたレースの場合は車間を詰め切れないと無駄なエネルギーを使って勿体ないね。

 

最後はIRONMANで採用されている12mルールだ!
IRONMANはノンドラフティングルールを採用していて、これは前走者の前輪から自身の前輪まで12m開けなくてはいけないルールだ。下の写真のように車間はかなり空いているけど、ドラフティング効果はあるのだろうか?

実験4)ドラフティング(IRONMANルール:前輪前輪12m
220W:単独時との出力比92%

なんとこの車間でもまだ約8%もドラフティング効果が残っている。実際のIRONMANレースでもその効果はかなり大きいと体感している。

 

ところで、この実験とはあまり関係がないけれど、私がIRONMANのレース中に見る限り、ドラフティングのルールはあまり守られていないと感じる。日本の道路の白線は5m、白線の間隔も5mだ。そしてバイクのサイズはおよそ1.7m程度なので、前の写真のように前走者との車間は白線とその白線の間隔分以上は開けなくてはならないはずだ。
これはIRONMANの前輪前輪で12mルールの場合なので、7mルールを採用している国内ローカルレース等では、車間は白線分は短くなる。ただいずれにしろルールを守ってレースを走りましょう。

 

さて、それでは締めに移りますかね。実験データを載せてきたので、特に改めて結論を言うことはないのだけど、

ドラフティングはかなり抵抗を減らす効果がある

日曜日にグループライドをしている方は多いけれど、ドラフティングを上手く使えば、実力差のある人とも一緒に練習することができるのは自転車の醍醐味だ。(その場合、先頭の人は坂ではゆっくり登ろうね。)

ノンドラフティングルールのレースでも、決められた車間ルールに従ったノンドラフティング走行をしても今回の実験結果の通り、実際は空気抵抗の軽減効果が残ることになる。これについては賛否両論あるけれど、車間を守れば空気抵抗の軽減効果を受けることは今のルールでは完全にフェアだ。そういう意味では20m車間を空けるべきだと言う意見は多いし、そうなった方が正しいと思うけれど、IRONMAN12mのルールを今のところ変える予定はないようだね。

以上長くなったけれど、これにて夏休みの自由研究は完結です。
夏も残すところ僅かだけど、体調に気を付けてトライアスロンライフを満喫してくださいね。